▼椿の花焼き~その由来

 冬になると千も万もの椿が咲き乱れる椿山で椿の炭焼きをして暮らしている男がいた。椿の炭しか焼かない男だった。

 年の頃四五、六の全くさえない男だったが、可憐な紅色の椿の花々のあまりの美しさにひかれて男は考える。

 ・・・この花の命を長くとどめる土の器は出来ないものだろうかと・・・。

 それから三年、又五年、いずこで何をしていたのやら。

 再び男は現れて、両手にかかえた沢山の白、又、紅の器たち。
これでどうだと大いばり。

 ハハハと笑って立ち去るが、残った人は手を打って「これぞ誠の椿の精」とほめそやすやら、ホンにバカバカしい事やのうとけなすやらしたそうです。

 以上椿の花焼の由来。